変色しないバジルソースのレシピを紹介|ジェノベーゼが黒くなるのはなぜ?

今回は、変色しないバジルソースの作り方を紹介します。

さて、これはどちらも同じ材料、同じミキサーで作ったバジルソースを1時間置いたもの。
右のバジルソースは黒く変色してしまいましたが、左は鮮やかな緑色のままです。

別にこれ、怪しい~添加物を入れているわけではありませんよ。そして、自宅で誰でも簡単に作ることができます!

美しい緑色が魅力のバジルソース。特に、摘みたてバジルで作るホームメイドのソースは味や香りも格別ですよね。

このバジルソースを絡めて作るパスタジェノベーゼは、今や日本でも定番パスタの一つ。イタリアンレストランに行くと、必ず目にするメニューです。

しかし!!
お店で注文したジェノベーゼは最後まで美しい緑色のままなのに、自家製のバジルソースで作るジェノベーゼは食べ終わる頃には黒く変色してしまった…なんて悲しい経験はありませんか?

また、料理に彩りを添えるためにかけたバジルソースが、変色して彩りを損ねてしまった…という経験を持つ方も多いかと思います。

せっかくのバジルソースも、見た目がどす黒いと美味しそうには見えませんよね…

今回は、このお悩みを解決するお皿に盛り付けても変色しにくいバジルソースの作り方を紹介します。

バジルソースが変色する理由

バジルソースが黒く変色するのは、酸化が原因です。バジルの葉は、切り口が空気に触れると直ぐに酸化が進み、黒ずんでしまいます。

バジルソース作りは、バジルの葉を刻んで、大量の空気と触れさせるものなので、黒くなるのは当然のこと。ただし、一緒に加えるオリーブオイルが、葉の傷口をコーディングして酸化を遅らせてくれるため、出来たてのバジルソースは鮮やかな緑色をしているのです。

バジルソースを保存瓶に詰めた時や、使いかけで余ったソースにも、表面にオリーブオイルをかけます。これは、バジルソースを酸素から遮断するためで、もしオリーブオイルをかけないでそのままにしておくと、空気に触れている部分から酸化が進み黒くなってしまいます。

バジルソース_バジル農家が教える

でも、料理に絡めたり散らしたりしたバジルソースを、瓶の中の時のように空気から遮断することはできません。

盛り付して直ぐに食べる場合には問題ありませんが、パーティ料理などのように、食べるまでに少し時間がかかるものには、バジルソースが黒くなりにくいよう工夫が必要です。

市販のバジルソースは、なぜ黒くならない?

実は市販のバジルソースの場合は、多少時間が経っても黒くならないものがほとんどです。
なぜでしょう?

市販品の多くには、酸化防止剤が添加されているからです。

とは言っても、添加される酸化防止剤はビタミンC、ビタミンEなどの天然由来のものがほとんど。自分でバジルソースを作る場合でも、レモン汁を加えることで黒くなりにくいソースが作れます。

ただし、レモン汁を加えれば当然ながら味は変わってしまいます。

また、わざわざ酸化防止剤を購入してバジルソースに添加するのも、抵抗のある方が多いのではないでしょうか?

そこで、次に添加物を加えないで作る、黒くなりにくいバジルソースの作り方を紹介します。

黒くならないバジルソースの作り方

バジルソースが酸化して黒くなるのは、葉に含まれる酸化酵素などの働きによるもの。この酵素は、熱を加えると不活性化されます。

ペーストにする前にバジルをさっと湯通ししておくと、酸化防止剤を加えなくても黒くなりにくいバジルソースが作れるのです。

加熱しちゃうと風味が損なわれるのでは…?

と心配になる方も多いかと思いますが、これは本場イタリアや、プロの料理人なども普通に採用しているテクニック。加熱といっても、グツグツと煮立てるのではなく、数秒程さっと湯に通すだけ。また、湯通し後に速やかに冷やしてあげることも、バジルの風味を損なわない重要なポイントです。

では、作り方を材料から順に紹介しますね。

■ 材料

  • バジル 50g(葉のみ)オリーブオイル 100ml
  • ニンニク 1片
  • 松の実 20g~40g(※クルミなどのナッツ類でも代用OK)
  • 粉チーズ 20g
  • 塩 小さじ1/2
  • 重曹 1つまみ

■ 作り方

  1. 松の実をフライパンで焦がさないように、軽く煎る。
  2. ニンニクは粗く刻む。
  3. バジルは茎を取り除いて葉のみを残し、さっと水洗いする。
  4. 沸騰したたっぷりのお湯に、重曹を一つまみ加え、バジルを10秒ほどさっと湯通しする。鍋から取り出して氷水にさらした後、水気をよく絞る。
  5. ミキサー(フードプロセッサー)に材料を全て入れ、滑らかになるまで攪拌する。
ぴっこ
ぴっこ

湯から上げたら、速やかに氷水で冷まして

重曹がない場合は、単なる熱湯で茹でるだけでも大丈夫です。重曹を入れて、お湯を弱アルカリ性にすると、より綺麗な色に仕上がります。

ちなみに、今回は重曹を切らしていたため、写真のバジルソースは重曹水ではなかく塩水で湯通ししました。

また、茹で過ぎは厳禁ですが、全体に熱が回っていないと逆に色が悪くなる場合もあるため注意してくださいね。

作り方や材料が原因でバジルソースが黒くなることも…

バジルの湯通しをしなくても、酸素に触れにくいように上手に作れば、多少は黒くなりにくいバジルソースが出来上がります。一方で、使用する材料の質が悪いと、丁寧に作っても黒くなってしまうこともあります。

次に、黒いバジルソースが出来上がってしまう失敗例を紹介します。

塩を入れなかった

バジルソース作りでは、必ず塩を加えますが、塩の役割は単に味を整えるためだけではありません。バジルの鮮やかな緑は、光合成でおなじみの葉緑素に含まれるクロロフィルの色。塩には、このクロロフィルの色素を安定させる働きがあります。逆に塩を入れずに攪拌すると、作っている間からソースが黒くなってしまうこともあります。

長く攪拌し過ぎた

ペーストを作るときにミキサーなどで攪拌しますが、この攪拌時間が長くなるほど空気に触れる量も増えてしまうため、黒くなりやすくなります。

攪拌時間が長くなる原因の一つは、ミキサーへのバジルの入れ過ぎです。できれば一度の攪拌で効率よくたくさんの量を作りたいところですが…風味が損なわれては本末転倒。機種などによっても異なりますが、一度に攪拌する量はミキサーの1/3以下にとどめて、たくさん作りたい場合は何回かに分けるようにしましょう。

また、ミキサーの刃が回りにくい時には、オリーブオイルを追加します。無理に攪拌を続けると、摩擦熱でエグ味も生じてしまいます。

ぴっこ
ぴっこ

レシピに記載されているオリーブオイルの量は目安と思って
多少、多めに入れるくらいでも大丈夫!

質の悪いオリーブオイルを使用した

私の失敗談になりますが…
以前、正しい方法で丁寧にバジルソースを作ったにも関わらず、完成直後に黒くなってしまう…ということがありました。

直ぐに同じ材料を使って作り直したのですが、出来上がったのはやっぱりどす黒いバジルソース。風味も、何だかべっとりと油臭いような…???

実はこの時、ディスカウント店で購入した、安価なオリーブオイルを使用していました。「もしや?!」と思い、いつも使っているオリーブオイルに代えて再度作り直したところ、同じ作り方で、今度は鮮やかな緑色のソースに仕上がったのです。

オリーブオイルの質の良し悪しは、バジルソースの仕上がりを大きく左右します。

最初に使用したオリーブオイルは、おそらく既に酸化が進んでいたのでしょう。「バジルソースの色が悪い」という以前に、酸化したオイルで作るバジルソースなんて、いかにも体に悪そうですよね…

さて、使用するオリーブオイルは「エキストラバージンオリーブオイル」と表記され、原産地が明記されたものがおすすめです。

オリーブオイルって高いな…

と思う方もいるかもしれませんが、質の良い本物のオリーブオイルは250ml程度で1,000円以上するものがほとんどです。私も、自家消費用のバジルソース作りに、そこまでの高い金額は出せませんが…一応、信頼できるメーカーのもので、「エキストラバージンオリーブオイル」と表記された価格の安すぎないものを選ぶようにしています。

実は、日本には明確なエキストラオリーブオイルの法基準が定められていないため、「エキストラバージンオイル」と称されたものだからといって、残念ながら必ずしも品質が保証されているという訳ではありません…微妙な質のものも多く出回っているとも言われています。
でも、「エキストラバージンオリーブオイル」以外のもの(ピュアオリーブオイル、サンサオリーブオイルなど)は、さらに原料そのものの質が劣るもので、化学物質が添加されていたり、不純物が多く含まれていたりする場合もあるため、バジルソースの材料として適しているとは言えません。

また、オリーブオイルは劣化しやすく、未開封の状態でも熱や光によって酸化が進んでしまうことがあるため、保存にも注意が必要です。

バジルの栽培方法によっても黒くなりやすい?

私のお客さんの、あるイタリア料理人は、いつも株の内側の方に生えている、あまり日光を浴びていない柔らかな葉を好んで摘んでいきます。これらの葉の方が、バジルソースを作った時に黒くなりにくく、きれいに仕上がるとのこと。

科学的検証をしたわけではないので、あくまで私の経験と予想でしかありませんが、バジルの葉は太陽を強く浴びるほどに厚みを増し、緑は濃く鮮やかになり、香りも強くなります。これらは、紫外線から体を守るためのバジルなりの防衛反応の一つで、この時にポリフェノール類などの様々な成分が生成されているはずです。この紫外線を浴びることで作られる成分や、葉に蓄積された光エネルギーの量などが、バジルソースの変色に強く影響しているのかもしれませんね。(すいません、化学にはあまり強くないため詳しくは語れませんが…汗)

ただし、この料理人の方が言うには「工場栽培のバジルでも、思うようなバジルソースに仕上がらない…」とのことなので、太陽光の量については調度良い塩梅があるようです。これについては、今後もいろいろと試してみて、また報告できればと思っています。

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まとめ

バジルソースが黒く変色する原因は酸化。

変色させないためには、兎にも角にも酸素に極力触れさせないようにすることが重要です。ミキサーやフードプロセッサーで作るときには、攪拌時間を極力短くできるように、オリーブオイルの量や、一度に攪拌する量には注意しましょう。また、攪拌前にバジルを湯通しして葉の酵素の働きを止めることで、黒くなりにくいソースを作ることもできます。使用するオリーブオイルの質などにも、注意が必要です。

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