水も肥料も十分に足りているはずなのに、茎に張りがなく、葉っぱも萎れてどんどん黄色くなっていく。こんな症状が見られたら根腐れを疑ってください。
もし鉢の中の根が黒く変色しているようなら…それは根腐れです!
さて、「土は、乾燥ぎみがいいのよね!?」と、決めつけていませんか?
根腐れは、水のやり過ぎが原因でおこると思っている人が多いようです。
でも、水のやり過ぎは、根腐れをおこす一つの引き金に過ぎず、本当の原因は他あります。
水が足りなくて根腐れになることもあるのよ!
今回は根腐れがおこる原因と、根腐れしないための栽培の注意点についての紹介です。
また、正しい水のやり方についても解説します。
主にバジルについてのお話しになりますが、他の野菜でも基本は同じですので良かったら参考にしてくださいね。
水をやり過ぎると根腐れになるって本当?
確かに、水をやり過ぎると根腐れがおこりやすくなります。
でも、勘違いされがちですが、水が根を腐らせるわけではありません。
もし、水が根を腐らせるというのなら、水耕栽培はできないですよね!?
根腐れの原因の一つは、土の中の嫌気性菌の増殖です。
土の中に余分な水が溜まっていると、通気性が悪くなり酸素が不足してしまいます。
嫌気性菌とは、この酸素の無い環境で増殖する菌で、その中には植物の根を攻撃して腐られる悪いヤツもいます。
土の中には、酸素が好きな好気性菌と、酸素が嫌いな嫌気性菌が住んでいて、好気性菌が元気なときには、嫌気性の悪い菌は増えることができないの
でも、酸素が足りないと好気性菌の元気がなくなってしまい、悪い菌がどんどん増えてしまう…
さらに、酸素が不足した土の中では、植物の根も呼吸や新陳代謝が十分にできずに元気がない状態です。
健康な根なら、悪い菌からの攻撃に対して、ある程度の抵抗力を持っています。
また、酸素が豊富な土なら、嫌気性の悪い菌はそれほど増えることができません。
でも、酸欠で抵抗力を失ってしまった根、一方でより攻撃力を増した嫌気性菌…この不幸の重なると根腐れがおこってしまうのです。
そして、これが「水をやり過ぎると根腐れになる」の正体なのです。
あくまで原理的な話になりますが、菌は有機物をエサに繁殖するため、殺菌処理された無機質の土と水のみで植物を育てる場合には、どれだけ水浸しでも根腐れはおきません。
でも、一般の土には有機物が含まれており、そこに住む菌には野菜を健康に美味しく育てる良い働きもしてくれるものもいます。
菌がいなければ良い、という訳でもないの
根腐れを起こさず、美味しい野菜を育てるためには、土の中に悪い菌を増やさないこと。
そのためには、水浸しにして土の中を酸欠状態にしないことが、とても重要になります。
根腐れ対策は土とプランター選びから
水を注ぐとスッとはけていく排水性の良い土もあれば、表面に溜まってなかなかはけていかない排水性の悪い土もあります。
悪い菌が増殖する酸欠になりやすい土は、後者のタイプのものです。
排水性や通気性は水のやり方以上に、土の質そのものに大きく左右されます。また、使用するプランターの材質や形状によっても、排水性や通気性に大きな差が出ます。
つまり、植物を植え付ける前の段階の土とプランター選びで、根腐れのリスクがある程度決まってしまうのです。では、「根腐れしにくい土やプランターとは?」について解説していきます。
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土について
排水性や通気性の良い土は、土の粒どうしがくっつき合った団粒構造をしています。
団粒構造の土とは、例えるならふわふわとしたスポンジのような土質のものです。水や肥料成分を素早く吸収する一方で、吸いきれない水は速やかに外に流れていくため、通気性が保たれるのです。
良い菌がたくさん働いている有機質に富んだ土ほど、団粒構造が作られやすくなります。
ただし、有機物なら何でもいいという訳ではありません。有機物は主に堆肥や有機質肥料に多く含まれていますが、質の悪いものを使うと植物の生育にかえって悪影響を及ぼします。
市販されている培養土は、団粒構造を意識して堆肥やその他の用土をブレンドしたものです。ただし培養土の質は値段にある程度比例するため、買った土だからといって必ずしも排水性や通気性に優れているとは限りません。特に値段の安すぎる培養土は、団粒構造に乏しい上に、発酵が不十分な質の悪い堆肥を使用している場合もあるため注意が必要です。
市販の培養土選ぶ場合には、少し割高でも信頼のできるメーカーのものをお勧めします。
ここでケチると、野菜がうまく育たなくて逆に損しちゃうよ
プランターについて
土が良くても、プランターが排水や通気がしにくいものだと意味がありません。
むしろ、土の質が多少悪くても、プランターが良ければ、排水性や通気性はある程度カバーできる場合もあります。
プランターの排水性や通気性は、材質や底の形状などによって決まります。
素焼きのものは、鉢の表面からも空気が行き来できるため通気性にとても優れています。一方でプラスチックのプランターは表面からは空気が通せないため、鉢底からの排水や通気のしやすさがとても重要になります。
▶プランターの選び方、管理の方法を解説
水の大切な役割について
本来、植物にとって水は欠かせないものです。余分な水が土に溜まっていると根腐れなどのトラブルにつながることもありますが、水が不足すると植物はそもそも生きてはゆけません。
だから、「水やりを控える」ということには、そもそもリスクが伴うということを忘れてはいけません。
水の大切な役割について解説します。
私たち人間の体の60%以上が水であるといわれますが、植物の体はそれ以上の80%~90%が水でできています。
人間と違って、植物には骨がありません。骨のない植物が太陽に向かってピンと立っていられるのは、体を支える細胞の一つ一つが水で満たされているから。水が不足すると体を支える圧力が保てずに、首がだらんと垂れ下がってしまいます。
また水は、酸素や養分などを全身に届ける運搬役や、人間の汗と同じように蒸散させて体温を調整する役割も担っています。
何より、水は光合成に欠かせません。
光合成とは、植物が生きていくために必要な糖分を体内で合成する活動です。実は、この光合成をするときに、植物はたくさんの水を消費します。
「根腐れが怖い…」と水やりを控える人もいますが、特にバジルは光合成が活発で水を多く必要とする植物のため、むしろ水枯れは禁物です。
また、水をあげることは土に酸素を送ることにもつながります。
次に、正しい水のあげ方について紹介します。
正しい水やりの方法
水は表面を少し湿らせる程度では、根には十分に届きません。
また、根腐れのリスクを減らすためにも、水やりの量や時間帯はとても大切です。
鉢底から流れ出る位にしっかりと
水は土の表面が湿る程度ではなく、鉢底から流れ出すくらいたっぷりとあげます。
これによって、水が雑菌や古い空気を外に押し出し、土の中の空気を酸素の含んだ新鮮なものに入れ替える働きをしてくれます。
この時、受け皿に溜まった水は、直ぐに捨てるようにしてください。
朝イチでたっぷりあげる
水やりは朝イチが基本です。
植物は日の出と同時に光合成を始めますが、水が無ければ肝心の糖を作ることができません。また、猛暑の日には葉から水を蒸散させて暑さに耐えようとしますが、水が不足していてはコントロールがききません。
水は日差しが強くなる前にたっぷりあげて、日中の代謝に備えてあげましょう。
夕方や夜間は極力避ける
逆に、水の消費量が少ない夕方や夜間に水やりをすると、悪い菌が増殖しやすく根腐れの原因につながります。水は日の出ている明るい時間にあげて、夕方や夜間はできるだけ避けるようにしましょう。
株元から静かにあげる
水は株元から、泥が跳ねないように静かにあげましょう。
上から水をかけても、葉が傘になってプランターの中に十分に届かない場合があります。また、バジルの葉を長時間湿らせておくと、ベト病などの病気になりやすくなるため注意が必要です。
根腐れが起こる他の理由
根腐れは、土の水浸しによる酸欠だけが原因ではありません。
実は、根腐れをおこす原因は他にもいろいろあり、水枯れでおこることもあります。
最後に、過湿以外の理由でおこる根腐れについてを解説したいと思います。
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肥料をあげ過ぎた
肥料は、あげればその分だけ植物が吸えるというものではありません。適量を超えて肥料をいれすぎると、根が焼けたように黒く変色して腐ってしまう、肥料焼けという障害をおこしてしまいます。
肥料焼けは、土の肥料濃度が高すぎることによっておこる障害です。
肥料は、袋の説明書きを読んで、必ず適量だけをあげましょう。特に即効性の高い液肥は、濃度が高いと直ぐに障害につながってしまいます。
肥料焼けのメカニズムについては、土作りの説明でも詳しく解説しています。よかったら参考にしてくださいね。
▶バジル栽培に適した土は?pH値・肥料・堆肥などを徹底解説
プランターが小さすぎて根詰まりした
バジルを植えるプランターは1株につき直径25㎝以上が理想です。小さすぎるプランターで育てたり、1つのプランターに複数の株を密植したりすると、生長につれて根を伸ばすスペースが不足して、土の中が根でギュウギュウに詰まってしまいます。
これを根詰まりといいます。
根詰まりの状態では土が十分な酸素を取り込むことができないため、根の衰弱と、根を攻撃する嫌気性の菌が増殖によって、根腐れがおきてしまうのです。
鉢底の穴から根が飛び出しているのは、根詰まりサイン。
長く収穫を楽しみたい場合には、一回り大きめの鉢に植え替えてあげましょう。
水を枯らしてしまった
水が枯れているのを発見してあわてて水やりすると、一時的には回復する場合もあります。でも、実は根の組織が大きく損傷してしまっている場合も多く、その後は徐々に根が弱って腐っていきます。
バジルの場合、2つの誤解から水枯れを起こす人が多いようです。
・水のやり過ぎると根腐れになる
・太陽の真下で育てなければならない
確かに、水のやり過ぎが引き金になって、根腐れを起こすことはあります。でも、それは先に解説したように、根本的には土の排水性と通気性の悪さが問題です。バジルは水をたっぷり必要とする植物ですので、水は枯らすことがないように鉢底から流れるくらいたっぷりとあげましょう。
また、バジルは太陽の光を全て吸収できるわけではなく、一定量を超えた分の光は、吸収ができません。だから、必ずしも直射日光の当たる場所にプランターを置く必要はないのです。むしろ、猛暑が厳しい日には、日除けを立てたり、半掛けの場所にプランターを移動してあげた方が良いでしょう。
水の量は土の量にある程度比例するため、少し大き目のプランターに植えてあげると水枯れの対策になります。
プランター栽培は水の管理に気を付けて
畑でバジルを栽培するときには、私はあえて土を少し乾燥気味に調整します。その方が、香りが強くなるからです。トマトなども、水を少なめにしてストレスをかけることで、甘みが増すことが知られています。
でも、プランター栽培の場合、植物は限られた範囲でしか根を伸ばすことができないため、水不足は生命の危機に直結します。そのため、プランター栽培では無理にストレスはかけずに、十分に水をあげることをお勧めします。
もちろん、気温が低い時期や、屋内での栽培などで例外はありますが、バジル栽培の場合は、基本的には毎朝、鉢底から流れるくらいのたっぷりの水をあげるようにしましょう。
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