水やりと根腐れ|バジルの基本管理

私たち人間の体の60%以上が水であると言われますが、植物はそれ以上の80%~90%が水です。

骨のないバジルが太陽に向かってピンと立っていられるのも、細胞一つ一つが水で満たされているから。水が枯れると体を支える圧力のバランスが崩れ、首を垂れてしまします。

水は光合成にも欠かせません。光合成とは植物が生命の維持に必要な栄養素(糖類)を体内で合成するもので、光エネルギーを使って水と二酸化炭素から作ります。

また水は、酸素や養分などを全身に届ける運搬役や、水分を蒸散させることで体温の上がり過ぎを防ぐ調整役も担っています。


水は命の源であり欠かすこと出来ないものですが、私のバジル畑では敢えて土壌を乾燥気味に管理しています。
根は乾燥を感じると水を求めてどんどん広がり、植物に強さや逞しさが養われます。敢えて少量の水で育てるトマトのストレス栽培は有名ですが、バジルも同様で水を与えすぎない方が香りが強くなります。(科学的根拠によるものではなく、私の経験から感じるものです)

但し、これは畑で栽培した場合であり、中上級者の栽培技術です。
特に鉢植えでは、バジルが根を伸ばしても遠くの水にたどり着くことができません。人間の手による適切な管理が必要不可欠です。
今回は、バジルを元気に育てる為の正しい水のあげ方、そして水のやり過ぎで起こるとされる根腐れについて解説します。

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基本の水やり

どれだけ一生懸命に水をあげても、正しい方法で散水しないとバジルが効率的に水を使えないばかりか、病気や生育不良にも繋がってしまいます。まずは基本の水やりについて説明します。

朝イチにたっぷりあげる

水やりは朝イチが基本です。バジルは日の出と同時に光合成を始めますが、水が無ければ肝心の栄養分(糖類)を作ることが出来ません。また葉から水を蒸散させることで体の温度を調整し、太陽の暑さに耐えていますが、水が不足していてはコントロールがききません。
鉢植えのバジルには、日差しが強くなる前にたっぷりの水をあげて日中の代謝活動に備えてあげましょう。

逆に水の消費量が少ない夕方や夜間の水やりは、不要な水分が滞留して病害虫の増殖、根腐れなどの原因にもなりますので避けた方が無難です。

鉢底から流れ出るくらい、たっぷりあげる

水は土が湿る程度ではなく、鉢底からしっかり流れ出るくらい、たっぷりとあげましょう。この時、受け皿に溜まった水は速やかに捨ててください。水やりの目的は、単に水分補給だけではありません。水が雑菌や古い空気を鉢の外に押し流し、土の中を酸素を豊富に含んだ新鮮な空気にリフレッシュしてくれるのです。

ぴっこ
ぴっこ

忘れがちだけど、根っこは絶えず呼吸しているの。
酸素がないと根っこが窒息して、バジルが枯れる原因にもなるよ。
詳しくは「根腐れ」のところで説明するね。

株元から静かにあげる

水は株元へ泥が跳ねないように静かにあげましょう。葉の上から散水しても、葉が傘になり鉢の中に十分な水が行き届かない場合があります。また葉を長時間湿らせたままにしておくと、ベト病など病気の発生要因にもなるため、葉水は極力避けましょう。

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猛暑期は環境を変えて水枯れ対策

気温や日照などの環境によっては、朝の水やりだけでは不足してしまう場合もあります。猛暑期には複数回の水やりが理想ですが、もし難しい場合には少しの工夫で土の乾燥を和らげることが可能です。

直射日光を避ける

まず鉢やプランターを、炎天下を避けて半影になるような場所へ移動してあげましょう。移動が難しい場合は簾や遮光ネットのようなもので日よけを作ってあげるのも効果的です。地中海地方が故郷のスィートバジルは太陽を好む植物ですが、無理に直射日光にさらす必要はありません。逆に猛暑期は少し遮光した方が、柔らかな葉に育ちます。

大き目のプラスチック製の鉢に植えると水枯れしにくい

水のストック量は土の量に比例します。水枯れが心配な場合は、予め少し大き目の鉢やプランターに植えておくと安心です。また、鉢の材質でも土の乾き易さに差が出ます。素焼きの鉢は鉢表面からも水分が蒸発するため過湿対策には優れるのですが、乾き易い時期の水もちの良さはプラスチック製の方が勝ります。

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「水で根腐れになる」という誤解

水が枯れればバジルも枯れてしまいますが、一方で水を頻繁に与え過ぎてしまうと根腐れで枯れてしまう場合もあります。

誤解されがちですが、根腐れは水が根を腐らせるわけではありません。
土の中に水が滞留することで、土壌酸素濃度が著しく下がった結果、バジルにとって2つの不都合が発生して根が壊死してしまうのです。

酸欠の土壌が引き起こす2つの悲劇と、根腐れのメカニズム

① 根が十分な呼吸できない為、抵抗力が弱まる
植物は全身で呼吸しています。地上に出ている葉や茎だけではなく、土の中の根も生命を維持するために呼吸しています。特に根の呼吸は全身に養分を送り出す為にも、また根自体の新陳代謝の為にも欠かすことができません。土の中の酸素が不足すると、根が窒息して健全に機能できなくなります。

② 根を攻撃する嫌気性菌が増える
植物が育つ一般的な土には、酸素を好む好気性菌が活発に活動していて、酸素を嫌う嫌気性菌の増殖を抑え込んでいます。ところが、土の中に酸素が不足すると好気性菌よりも嫌気性菌の方が優勢となり密度が上がります。この嫌気性菌の中には、植物の根を攻撃して壊死させるタチの悪いものが存在します。


実は根に悪影響を与える嫌気性菌はどの土壌にも住んでいるもので、植物の根もそれに抵抗する力を持っている為、通常は問題となりません。しかしながら酸欠で抵抗力が弱った根に、増殖した嫌気性菌の一斉攻撃という悲劇的状況下では、根が負けて壊死してしまう場合があります。この現象が水のやり過ぎを要因とする根腐れの正体なのです。
つまり水が植物を枯らしている訳ではなく、水が土の中に滞留することで空気の通りを遮断し、酸欠を起こしてしまったことが根本的な要因なのです。

ぴっこ
ぴっこ

どんな菌でも有機物をエサに増殖するので、有機物を全く含まない人工用土や水では、この種の根腐れは起こらないの。
だから、水耕栽培のように根が水にどっぷり浸かっていても大丈夫なのよね。

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根腐れを防ぐ為の対策

根腐れの原因は、土に水が滞留することで発生する、土の中の酸素不足です。水をたっぷりあげても好気性菌が活発に働く健全な環境の中では、簡単には発生しない障害です。次の点を気を付ければ、根腐れを必要以上に怖がる必要はありません。

培養土は通気性、排水性の良いものを使う

培養土は団粒構造に配慮されたものを使用しましょう。市販の培養土のほとんどが通気性や排水性の良い調合になっていますが、価格が安すぎるものは要注意です。

排水設計された鉢を使う

必ず鉢底に穴があるものを選んでください。また排水しやすく、空気にも振れやすいように、底穴を塞がない工夫をしましょう。鉢をスノコやラックの上に置くと効果的です。また上げ底やスリッドの入った鉢であれば、さらに理想的です。

水は鉢底から流れ出るまで、しっかりあげる

水は土の上からたっぷりと、鉢底の穴から流れ出るまであげましょう。排水と共に土の中に溜まった古い空気が押し出され、替わって酸素をたっぷり含んだ新鮮な空気が土に流れ込みます。

受け皿に水を溜めない

排水性や通気性の維持、また嫌気性菌の繁殖を防ぐためにも、受け皿の水は溜めずに直ぐに捨てましょう。


また、こうした栽培環境の整備以外でも、日ごろからの観察もとても大切です。気温の低い時期や、曇天続きの場合には、2日に1度程度の水やりで十分な場合もあります。特に土の表面に緑色の藻が生えているような場合は、土が常に過湿状態であるサインなので水やりの頻度を見直しましょう。

尚、根腐れは土壌の過湿以外にも様々な要因で発生します。
水の管理には問題がないのに、バジルがぐったりしていて調子が悪いという場合には、こちらも確認してみてください。

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