バジルの病気|葉の裏のカビはなぜ生えた?萎れの原因は土壌病原菌?

バジルは、株を健康に保つことが出来れば、春から秋まで長く収穫を楽しむことができるハーブです。しかしながら、近年、バジルの栽培が難しくなりつつあります…

その理由は、メボウキべと病という、バジル特有の病気の蔓延です。

この病気はバジル特有のもので、2000年代の初頭頃から認識されるようになった世界的にも新しい病気。日本では2014年に初めて確認されて以降、全国で多発しています。

私の畑も7年ほど前からべと病被害に悩まされるようになり、一区画まるごと枯れてしまった年もありました…

でも、ここ数年は、なんとかメボウキべと病の抑え込みに成功しています。

バジルを枯らしてしまう病気には、他にも萎凋病や、苗立ち枯れ病などがあります。べと病を含むこうした病気の多くは、カビの一種である糸状菌によって引き起こされる病気です。バジルの収穫を長く楽しむには、いかにして病気を防ぐかが大きなポイント。

今回は、バジルが発症しやすい病気の種類や、予防や対処方法についてバジル農家としての経験をもとに解説していきます。

バジルに出やすい病気

多くの病気は、土の中などに住むカビなどの微生物が関係しています。

同じ土壌で、連続して同じ作物の栽培を続けると、収穫量が大幅に減ってしまうことがあります。いわゆる、連作障害です。この連作障害の直接的な要因の1つが、土壌病原菌と呼ばれる、作物に寄生して加害する微生物の増殖。毎年バジルばかりを栽培していると、バジルを好んで寄生する土壌病原菌が蔓延し、特有の病気が発症しやすくなるのです。

さて、土壌に住む微生物は、細菌(バクテリア)放線菌糸状菌(カビ)藻類などのグループに分けることができます。畑の土をスプーンで1杯すくうと、その中には数十億もの様々な土壌微生物いるといわれており、互に働き合いながら動物の糞や死骸、枯れた植物などを分解して土を肥やし、作物の生育に大きく貢献します。

ぴっこ
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植物や動物の体を作っている重要な要素の一つである窒素は、形を変えながら自然界をグルグルと循環している。土壌微生物は、死んだ動植物の体を分解して窒素を土に戻すという、窒素循環の一役を担っているの。

しかしながら、ごく一部の微生物は、生きた植物をも分解しようと働いてしまいます。「分解」とは、言葉を変えると「腐敗」。これが私たちを悩ませる、土壌病原菌と呼ばれるものです。

バジルの栽培で問題となる土壌病原菌のほとんどが、糸状菌(カビ)のグループに属するものです。


育苗初期に発生する苗立ち枯れ病は、糸状菌の一種であるリゾクトニア菌ピシウム菌が引き起こす病気。成長した株の地際部分の茎や根が腐敗し、葉や茎が萎れて枯死する萎凋病も、糸状菌の一種であるフザリウム菌の寄生が原因です。

また冒頭に紹介した、葉に寄生するバジルのべと病の犯人も、ペロノスポラ菌という卵菌類に属する糸状菌です。

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病気への対応と予防方法

バジルに発症する糸状菌由来の病気は、基本的には「治療はできない」ものと心得ておく必要があります

特に根から侵入する土壌病原菌への感染は、地上部に症状が現れて気が付く場合がほとんど。しかしながら、この時には既に病気がかなり進行していて、治療できる術も農薬もありません。

べと病のように葉に寄生するタイプの病原菌に対しては、殺菌剤の散布が有効です。でも、胞子を飛ばす空気感染のため、周囲への伝染のスピードが非常に速く、発症に気が付く頃には終息が極めて難しい状態になっています。

病気への対策は「発症したものを治す」のではなく、病原菌を増殖させない環境をつくることや、病気に負けない健康な株に育てることが基本です。

例えば糸状菌は湿度の高いジメジメとした環境だと増えやすいため、水のやり過ぎなどの加湿を避け、増え過ぎた枝や葉は適度に剪定して風通し良く仕立てることなどが予防につながります。

また、有益な菌を増やす資材や堆肥などを土に入れることで、土壌病原菌の増殖が抑制できます。
実は、土壌微生物同士は仲良く共存しているだけではなく、互いにエサやスペースの奪い合いをしながら増殖を抑制し合っています。良い働きをする土壌微生物を陣取り合戦で優勢に立たすことができれば、病原菌の勢力を弱体化させることができるのです。

土の中に有益な菌を増やすには、まずは、エサとなる良質な有機物(堆肥・有機質肥料など)をいれること。質の悪い堆肥は、病原菌の増殖を逆に助長してしまうこともあるため、必ず完熟の良質な堆肥を使用するようにしましょう。市販されている培養土も、堆肥と数種類の用土をブレンドしたものです。価格が極端に安い培養土は、未完熟な質の悪い堆肥が使われていることが多いため注意が必要です。

また、有益な菌を含む資材を土に投入して、直接的に増やす方法もあります。トリコデルマ菌は糸状菌の一種で、野菜には有益に働き、旺盛で早い増殖力でリゾクトニア菌やピシウム菌、フザリウム菌などの土壌病原菌を抑制します。(※トリコデルマ菌は、きのこ類や稲に対しては有害に働くこともあります。)

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それでも発症してしまった場合には、病気の株を速やかに処分して、他の株に伝染させないようにすることも重要です。べと病などの場合には、未だ発症していない株への殺菌剤を散布で、被害の拡大を制止することができます。

くの病原菌は、一度増殖すると数年間は土の中で生き延びます。そのため同じ場所でバジルを繰り返し栽培する連作は、おすすめできません。やむを得ない場合は、病原菌に対する抵抗性品種(べと病耐性バジル、フザリウム耐性バジルなど)を選ぶようにしましょう。

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また、土壌病原菌の大半は60℃以上で死滅するといわれています。そのため、太陽熱などを使った土壌消毒で、土の中の病原菌の密度を下げることができます。
▶石灰窒素+米糠+太陽熱で行う、人と環境に優しい土壌消毒の方法を紹介

植物も人間と同じで、体力が衰えると病気に罹りやすくなります。肥料やpH(酸性・アルカリ性の度合い)のバランスの不適合、日照不足などはバジルを軟弱に生長させます。
また、土壌病原菌は根から侵入するため、根に傷があると病原菌が入りやすくなります。植え付けるときに根を傷つけないようにすることや、根を加害するセンチュウ類などを駆除しておくことも、感染の予防につながります。

べと病

べと病に感染したバジルの葉は、表面が黄化し、裏には黒や灰色のカビがびっしりと生えます。発生初期には、黄化は葉脈で区切られ部分的に発現しますが、やがては葉の全体に広がって茶褐色になり枯れていきます。

ぴっこ
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バジルのべと病(メボウキべと病)は、バジル農家が最も恐れる病気!!比較的新しく認識されるようになったバジルの病気で、世界的に大問題になっているけど…まだ解明されていないことも多く、予防や治療方法も研究の途上なの。

べと病は、糸状菌(カビ)の一種であるペロノスポラ菌が葉に寄生することで発症する病気です。胞子を飛ばして感染エリアを広げ、短期間で壊滅的な被害へと発展します。べと病を治療できる殺菌剤の研究が進められていますが、発症した株を完全に治癒させるのは極めて困難です。べと病の胞子に感染してから発症するまでは、5日から10日程度。とにかく早期発見し、周囲の株に伝染させる前に対応できるかがカギとなります。

ペロノスポラ菌も一般的なカビと同じように、日光が当たらない、ジメジメとした生暖かい環境を好み増殖します。経験上の話しになりますが、日照時間が短くなる8月の盆以降、秋雨の頃が非常に危険です。逆に、30℃を超えるような強い日差しの下では、ほとんど発生しません。

「べと病」という病気は様々な野菜で発生しますが、ペロノスポラ菌には様々な型があり、野菜によって感染する種類が異なります。メボウキべと病の菌は、バジルと同じシソ科のごく一部(コリウス、サルビアなど)植物を除いて、ほとんどのシソ科のハーブ、野菜には感染しません。

予防と対応

べと病は、過湿が続くと発生リスクが高まります。ムレの原因となる繁った葉や枝を剪定し、通気性を確保してあげることで予防につながります。また水やりは、葉があまり濡れないように株元から静かにあげましょう。

根の張りや、栄養状態が悪いと株が軟弱に育ち、べと病への抵抗力が弱まります。有機質に富んだバランスの良い土づくりを心掛け、肥料切れを起こさないように追肥のタイミングには注意しましょう。特に、生育初期でのリン酸の吸収は、べと病に負けない強い体作りにはとても重要です。

実は、バジルのべと病は、種子からの感染も確認されています。べと病が発生しているエリアからの種どりは、避けた方が無難です。最近では、べと病に対して強い耐性をもつF1品種の種が開発されています。これらの種子を使うことで、べと病のリスクは大幅に軽減されます。

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べと病に効く殺菌剤もあります。バジルに対しては、ランマンフロアブルや、レーバスフロアブルが登録されています。どちらも、べと病に罹患した株に対する「治療効果」が認められていますが、実際には進行を止められない場合がほとんどです。殺菌剤は、どちらかといえば「予防」として使うものと心得ておきましょう。

べと病を発見したら、まずは発症部分とその周辺を全て除去するそして、未だ、べと病が発症していない部分や周囲の株への予防として殺菌剤を散布することで、上手くいけば被害の拡大を抑制することができます。

また、「殺菌」とは真逆になりますが、私は日常的に土や、その周辺に有用なカビを増やすように心がけています。例えば、通路に米糠を薄くまいておくと、やがて白カビなどが生えてきます。えひめAIなどを散布すると、さらに効果的です。このカビは、べと病の菌のようにバジルを加害することはありません。糸状菌(カビ)は互に拮抗し合う関係にあるため、バジルの葉の周辺によいカビを増やしておくことで、べと病を抑制できると私は考えています。これらによる効果は立証できませんが…ここ数年、べと病は発生していません。

萎凋病

萎凋病は土壌病原性の糸状菌の一種であるフザリウム菌が導管を詰まらせてしまう病気です。地際部分の茎や根が茶褐色に腐り、水や養分の吸収が阻害されるため葉に黄化が現れ、やがて株全体がぐったりと萎れて枯れてしまいます。

ぴっこ
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フザリウム菌そのものは、どこの土にもすんでいる菌で、実は種類もたくさん!多くのフザリウム菌は、枯れた植物などを腐敗(分解)させて土に戻してくれる功労者なの。
でも一部の種類が、密度が増え過ぎると生きたバジルも腐らせよと働いてしまうため問題となっている…

予防と対応

発生した株に対する効果的な治療方法はありません。他の株に感染させないように、速やかに抜き取り処分しましょうバジルの萎凋病(メボウキ萎凋病)の原因となるフザリウム菌は、バジルにだけ寄生するため、他の作物には影響がありません。バジルはシソ科の植物ですが、同じシソ科でも青じそ、ミント、オレガノ、セージ、タイプ、ローズマリー、レモンバームなどへのバジル以外のハーブには感染しないとされています。
一方で、病原菌は土の中で4~6年も生き続けるため、一度発生すると、その土壌でのバジルの栽培は難しくなります。

メボウキ萎凋病が発生した場所で、やむを得ずバジルを栽培するときには、フザリウム耐性のあるバジル品種を選ぶことで発症率を抑えることができます。病原菌は根の傷から侵入してくるため、植え付けるときに根を傷つけないように注意し、土を乾燥させるなどのストレスを与えないようにすることも大切です。メボウキ萎凋病は種子感染するため、病気の出たエリアのバジルからの自家採取はお勧めできません。

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土壌を太陽熱を利用して殺菌して、フザリウム菌の密度を下げることもできます。ただし、他の病原菌(リゾクトニア菌、ピシウム菌など)と比較すると、地下40㎝ほどの太陽熱が届きにくい深い場所でも生息することができるため、熱消毒だけではなく、米糠(有機物)を混和する土壌還元消毒法(米糠で爆増する微生物を利用して土の中を無酸素状態にする)との併用で有効です。
土壌消毒の方法は、こちらで詳しく紹介しています。
▶安全で環境に優しい!石灰窒素を使った土壌消毒の方法を解説

土壌中に、根を傷つけるセンチュウの密度が高い場合は、相乗して萎凋病の発病率も上がってしまいます。土壌消毒は、このセンチュウ類に対しても駆除効果が期待できます。

また、土壌中にトリコデルマ菌などの拮抗する有用菌を増やすことでも、フザリウム菌の抑制につながります。

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苗立ち枯れ病

苗立ち枯れ病は糸状菌の一種であるピシウム菌リゾクトニア菌の寄生によって、苗が枯れてしまう病気です。フザリウム菌による萎凋病とは異なり、若い苗にのみ発症します。

ピシウム菌に侵された場合には地際部分が腐敗し、リゾクトニア菌が原因の場合には地際近くの茎がくびれて茶褐色になり倒れてしまいます。

予防と対応

苗立ち枯れ病の予防は、良質で清潔な土と、清潔な育苗トレーやポットを使うことです。特に未完熟な有機物を含む培養土は、病原菌が増殖しやすくなります。培養土の質は価格とある程度比例するため、少々割高でも信頼できるメーカーのものをお勧めします。また、過湿になると病原菌の増殖を助長するため、水のやり過ぎには注意しましょう。

根腐れ

プランターで栽培中のバジルが、葉が黄色く、ぐったり萎れている場合には、根腐れをおこしている可能性があります。

根腐れは、しばしば「水のやり過ぎ」が原因と言われることがありますが、これは誤解で、水が根を腐られせるわけではありません。プランター内の過湿状態が続くことにより、①土に酸素が不足して根が窒息する②根を加害する嫌気性菌(酸素の無いところで増殖する菌)が増える、などの理由が重なって根が腐ってしまう、というのが一般的な根腐れの原因です。

ちなみにプランターでの水やりは、鉢底から流れ出るくらいにたっぷりの水をあげることが基本です。これにより土に溜まった悪い雑菌を洗い流し、土の中を酸素たっぷりの新鮮な空気に入れ替えます。

ところが、土の質が悪い、プランターが排水設計されていないなどの理由で、たっぷり水をあげても排水が滞り、逆に土の中が酸欠になって雑菌が増えてしまう場合もあるため、「水のやり過ぎ」が根腐れになるといわれているのです。

根腐れの予防には、質の良い培養土と排水設計されたプランターを使うことです。培養土の質は、価格にある程度比例するため、安すぎる培養土は避け、少々割高でも信頼できるメーカーのものを使うようにしましょう。

また、根腐れを起こす原因は他にもあります。

・肥料の濃度障害

・根詰まり

・水枯れ

根腐れの予防方法については、こちらで詳しく解説しています。
▶根腐れの原因と予防方法を徹底解説|正しい水やりの方法は?土やプランターの選び方は?

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まとめ

バジルに発症する病気の多くは糸状菌(カビ)由来のもので、ほとんどの場合で治癒させることができません。病気への基本的な対策は、「感染してから治す」のではなく、「感染させない」こと。健康で丈夫な株を育て、土の中に病原菌を増殖させないために、肥料や土壌pHのバランス、温度や湿度の適正な管理などに気を付けましょう。
また植え付け前の、太陽熱を利用した土壌の消毒や、病原菌の増殖を抑える有用菌資材などの投入も予防策として有効です。べと病や萎凋病などに対しては、F1の抵抗性品種を選ぶことで感染リスクを大幅に減らすことができます。

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