「バジル」「スイートバジル」「バジリコ」の違いは？ジェノベーゼにはどの品種？

園芸店に陳列されたバジルの種。
単に「バジル」とだけ表記されたものと、「スィートバジル」という商品名のもの。
この２つの種は、写真で見る葉の形状にも、袋の説明書きにある栽培方法にも大きな違いはありません。

「バジル」と「スィートバジル」、いったい何が違うのでしょう？

また、「バジリコ」という商品名のバジル種も存在します。こちらも、上の２種と比べて大きな違いがないようにも見えます。

さて、バジルを栽培する方の多くが「ジェノベーゼのパスタを食べたい！」と思い品種を選ぶのではないでしょうか？

最高のジェノベーゼのソースを作るためにはどの種を選べば良いのでしょう？
バジル？
バジリコ？
スイートバジル？

今回はそれぞれの違いや、ソース作りに適したバジル種の選び方について紹介します。

バジルには１５０種を超える品種がある

「バジル」と聞いて、どんな野菜を思い浮かべますか？
パスタやピザに添えられる香り高いハーブ、イタリア国旗のシンボリックな緑色を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。日本の食文化に、今やすっかり定着したイタリア料理ですが、バジルはイタリアンブームの到来と共に私たちに身近なものとなりました。

こうした経緯から、バジルはイタリアの特有のハーブと思われがちですが、実はインドや東南アジアが原産で、東南アジア周辺でも日常的に使用される野菜だということを知っていますか？
世界には、なんと１５０種を超えるバジルが生息すると言われています。私たちが「バジル」と思っている品種は、イタリア料理で親しまれている「スイートバジル」と呼ばれるグループに属するもので、バジルの中のほんの一部なんですよ。

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「バジル」と名が付く仲間たちには、
「レモンバジル」や「シナモンバジル」など香りを連想させるもの
「レッドルビン」や「ダークオパール」など色を連想させるもの
「タイバジル」や「グリークバジル」、「アフリカンバジル」など産地を連想させるもの

一括りに「バジル」と言っても、
色や形も様々
香りも風味も多種多様

なんだか種袋を見ているだけでも、ワクワクしてきませんか？
もう、直ぐにでも種を蒔きたくなっちゃいますよね！

さて、園芸店にバジルの種を買い行くと、ある疑問が…

バジルとスィートバジル、何が違うの？

「バジル」と「スイートバジル」、種袋を見比べても、葉の形や表記された栽培方法に大きな違いはありません。この２種の違いは、いったい何でしょうか？

先ほどお話しした通り、日本の種市場でも「バジル」と言えば、一般にイタリア料理でお馴染みの「スイートバジル」をさします。種メーカーによって、単に「バジル」とする場合もあれば、あえて「スイートバジル」という商品名をつけていることもあります。つまり、この２種は、同じ「スイートバジル」と考えて問題ありません。

「バジリコ」はバジルの品種名ではない⁉

「バジリコ」という商品名の、バジル種も販売されています。

「バジリコ」もまた、スイートバジルと全く同じものと考えて問題ありません。「バジリコ」は「バジル」（英語：Basil)のイタリア語（Basilico)。単に言語の違いでありで、品種や特性を示すものではありません。

パスタ「ジェノベーゼ」に最も適したバジル品種はどれ？

イタリア料理でバジルといえば、バジルで作る緑色のソースを絡めたパスタ「ジェノベーゼ」が有名です。
さて、「ジェノベーゼバジル」という種があることをご存じですか？
いかにも、パスタ「ジェノベーゼ」が美味しく出来上がりそう…な名前ですね。

このジェノベーゼバジルの種を蒔いて、収穫した葉からソースを作れば、本場のパスタジェノベーゼを再現できるのでしょうか？

バジルソースを絡めたパスタ「ジェノベーゼ」（Pasta al pesto genovese）は、イタリア北西部リグーリア州ジェノバ地域の郷土料理の１つです。そしてジェノベーゼバジルとは、ジェノバ地域で代々作り繋がれてきたバジルの品種で、実はこれもスイートバジルの一種になります。

イタリア食文化を築き上げた一般的なバジルが「スイートバジル」。
その中でも特にジェノバ地方で栽培される、いわゆる「伝統野菜」のバジルが「ジェノベーゼバジル」という訳です。

バジルとしての特徴は双方で大きな差異はなく、逆に一般的なスイートバジルをペーストにしてパスタを作っても、素人目には味や見た目にパスタ「ジェノベーゼ」と何の遜色もありません。

但し、イタリアの法制度（DOC）上、ジェノベーゼバジルを使わずに作ったパスタは「ジェノベーゼ」（Pasta al pesto genovese）とは呼んでいけない、との事です。

ジェノベーゼバジルは、伝統野菜ということもあり、少し神経質でクセ強い種です。栽培しやすく改良された日本の種苗会社のスイートバジルに比べると、発芽率は低く、土壌環境にも左右されやすい印象です。
でも、せっかくバジルを栽培するなら、ぜひ本場イタリア一押しのジェノベーゼバジルにも挑戦してみませんか？

ほとんどのバジル品種が「スイートバジル」の仲間

「スイートバジル」の定義については、市場の慣例的な線引きと、生物学的な線引きとでは、少し解釈に違いがある様です。

学名で表すとスイートバジルはOcimum basilicum（オシム　バジリコム）になります。
イタリアのジェノベーゼバジル（Ocimum basilicum ‘Genovese Gigante’）の他に、東南アジアで人気にのタイバジル（Ocimum basilicum var. thyrsiflorum)なども、実はこのOcimum basilicumに属するバジル。意外もに、葉の色が赤紫のレッドルビンバジルも同じグループです。
つまり広い意味で言えば、学名上はイタリアのジェノベーゼバジルも、タイバジルも、赤葉のレッドルビンも「スィートバジル」の一種になり、変わり品種も含めて日本で手に入るバジル種の多くが「スイートバジル（Ocimum basilicum）」と同じグループのバジルです。

でも、種苗の流通上では、イタリア料理でお馴染みのバジルのみ「スイートバジル」と呼ばれ、タイバジルやレッドルビンバジルは別の物として扱われるため、一般的なバジルを育てたい場合は商品名が「スイートバジル」や「バジル」、「バジリコ」のものを選べば大丈夫です。

このサイトでは、イタリア料理にお馴染みのスイートバジルとは見た目も風味も少し異なる、個性豊かなバジルたちも紹介しています。
近年ブームになっているガパオライスは、バジル使ったタイ料理です。実はガパオライスには「スイートバジル」ではなく「ホーリバジル」という品種のバジルを使います。
他にも、クッキーに入れると美味しいシナモンバジル、エスニック風の炒め物には欠かせないレモンバジルなど…世界には、日本の八百屋のハーブコーナーには並ばない魅力的なバジルがいっぱい。

八百屋やスーパーマーケットで手に入りにくいバジルは、自分で栽培してみてはいかが？
バジルを使いこなせれば、本場の味に近いワンランク上の料理が再現できますよ！

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