朝、たっぷり水をあげたにもかかわらず、太陽が昇ると葉が萎れてグッタリ垂れ下がる…
夕方になって日差しが弱まると、再びシャキッと回復する。
これは、根に何かしらの障害が発生している場合に現れる、典型的な症状です。
土から引き抜いてみて、根に数珠のように連なるたくさんのコブがあれば、おそらくネコブセンチュウの仕業です。
ネコブセンチュウは、土や植物の根の中にすむ1㎜程度のセンチュウで、透明で無色のため肉眼では見つけることができません。また、発生が確認できても、駆除することが難しい厄介な害虫です。
私の畑も、かつてはネコブセンチュウの被害が多発し、生育不良や収量の低下に悩まされていました。いろいろと試行錯誤した結果、現在のところは石灰窒素と米糠を使っての太陽熱消毒+線虫捕食資材の投入で、おおかた抑え込むことができています。
今回は家庭菜園でもできる安全で効果的なネコブセンチュウの防除方法を、農家目線から解説します。
バジル農家のぴっこが、詳しく解説していくよ!
「センチュウ」って、どんな生き物?
センチュウとは土や海の中、他の生物に寄生するなどして生息する線形動物門というグループに属する生き物のことをさします。世界には20,000種ほどのセンチュウがいるといわれていますが、そのうちのごく一部、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウなどが農作物を加害することで知られています。
センチュウには、カビや細菌などをエサにして自立して生活をする自活性線虫と、動物や植物を宿主として寄生生活をする寄生性線虫とがいます。
野菜に害を与えるのは、後者の寄生性線虫です。
一方で自活性線虫は、ミミズなどと同じように土作りに欠かすことのできない有用な微生物で、ネコブセンチュウなどの駆除に役立つものもいます。
有害なセンチュウは、大きいものでも1㎜程度。しかも無色透明のため、土を掘ってみても肉眼では見つけることができません。育てた作物の地上部に障害が出て、根を引き抜いてみることで初めて存在に気が付く…という害虫です。
土壌有害センチュウの種類と生態
野菜の根に寄生して加害するセンチュウは、国内では10種類ほどが確認されています。
- ネコブセンチュウ
- ネグサレセンチュウ
- ハガレセンチュウ
- クキセンチュウ
- イシュクセンチュウ
- シストセンチュウ
- ラセンセンチュウ
- ユミハリセンチュウ
- ピンセンチュウ
- ワンセンチュウ
この中で、特に農作物に対する被害が多いのはネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの3種で、どのタイプの線虫も植物の根に寄生し、生育や収量などに深刻な影響を与えます。それぞれの生態や、加害の特徴についてみていきましょう。
ネコブセンチュウ
根にボコボコとしたコブをつくる寄生性線虫で、ほとんどの植物に寄生します。根の先端にある生長点付近から侵入し、一度寄生すると根の外に出ていくことはなく、そこで一生を過ごします。
根にできるコブは、ネコブセンチュウの出す分泌液によって、水や養分の通り道となる細胞が変形したもので、植物の葉や茎に届ける予定の栄養がコブの中に集まります。
コブはネコブセンチュウにとっての食糧庫であり、住処でもあります。一方で、コブの影響で、葉や茎へ水や影響の供給が妨げられてしまい、生育が阻害されます。
ネコブセンチュウは10℃以下になると活動しなくなり、卵か、幼虫や成虫が植物の根に寄生した状態で越冬します。15℃以上になると卵から孵化し、幼虫は寄生できる植物を探して土の中を移動します。
ネコブセンチュウにはさらに複数の分類され、日本ではサツマイモネコブセンチュウが最も主流です。
サツマイモ以外の植物にも広く加害するよ…
他にジャワネコブセンチュウやアレナリアネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウなども確認されています。
ネグサレセンチュウ
植物の根に宿る寄生性線虫ですが、ネコブセンチュウのように1つの植物に定着せずに、根と土壌とを出入りしながら次々に新しい根を加害していきます。侵入された根は亀裂などが入り黒く変色して、まるで腐ったように見えることから「ネグサレセンチュウ」と呼ばれています。15℃以下になると活動を止めますが、卵、幼虫、成虫のいずれの姿でも越冬することができます。
広くさまざまな野菜に寄生しますが、特にダイコンやニンジン、ジャガイモなどの根菜類や、レタスなどのキク科の植物に多く見られます。
シストセンチュウ
「シスト」とは殻のこと。根の先端付近から侵入したメスは、寄生したまま卵を宿した状態で死にます。その死骸が卵を守る頑丈な殻(シスト)になるためシストセンチュウと呼ばれます。
シストは乾燥や低温に対する耐久性が非常に高く、中の卵は植物に寄生していない状態でも10年以上生きるものもいるため、根絶が難しい非常に厄介な害虫です。
シストセンチュウは、大豆やジャガイモなどで葉の黄化や委縮、収量の減少などの深刻な被害を生じさせます。
今回は、この3種の中のネコブセンチュウについて詳しく解説していきます。
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ネコブセンチュウの被害
ネコブセンチュウが寄生した植物は、水や肥料を十分にあたえているにも関わらず葉色が悪く、ぐったり萎れてしまいます。ネコブセンチュウが葉や茎に届くはずの栄養を横取りし、水分の吸収を妨げてしまうからです。
植物の根に侵入したネコブセンチュウは、根の中心にある水や栄養の通り道(中心柱)に特殊な分泌物を注入して、細胞の一部をコブのように肥大化させます。コブは植物の葉や茎へ送られるはずの養分を集めるためのもので、ここから栄養を吸収してネコブセンチュウは産卵まで寄生し続けるのです。
被害の深刻なエリアでは、ほとんどの作物が何匹ものネコブセンチュウに加害されて、複数の根に数珠のように連なった多数のコブができてしまいます。
ネコブセンチュウは驚異的な繁殖力をもつ害虫なのです。
まず、メス単体でも、オスと交尾をしても、どちらでも子孫を残すことができます。さらに、1匹で500~1,500個程の卵を産みます。卵から成虫までものサイクルも早く、適温条件下では約1か月後には次の世代が卵を産むようになるのです。
ネコブセンチュウは、基本的には外敵がいない植物の根の中で産卵の準備をする…
メスの体内に作られた大量の卵は、最終的には根の細胞を破って土壌中に放出され、被害が広がっていくのよ!
恐ろしいのは…性別は成長過程で変えることができ、根に侵入したネコブセンチュウの性別は、ほとんどが卵を産めるメス!!
でも、ネコブセンチュウの数が増え過ぎて寄生できる植物が不足すると、オスが増え、土壌中でメスと交尾をして卵を残すこともあるの
ネコブセンチュウに寄生されても、植物は直ぐに枯れてしまうわけではありません。
根からの水や養分の供給率が低下することにより、「何となく調子が悪い…」という状態が長く続いた後、地上部の萎れる、葉が黄色くなるなどの枯死につながる致命的な症状がゆっくりと発現します。
ただし、ネコブセンチュウに寄生されると生育が阻害されるため、通常に比べて収量が激減します。さらに、株全体が抵抗力を失い、葉の黄化や萎れという直接的な要因の前に、別の病気にかかって枯れてしまうことも少なくありません。根そのものが、変色して腐敗する場合もあります。
ネコブセンチュウの繁殖の適温は25~35℃。初夏ごろから繁殖が活発になり、8月のお盆を過ぎたころに爆発的に数が増えるため、被害も表面化しやすくなります。秋ごろに収穫をむかえる野菜は事前の防除が特に重要です。
根こぶ病や根粒菌との違いは?
ネコブセンチュウと同じように、根にコブをつくり野菜の生育が阻害するものに、根こぶ病があります。根こぶ病はアブラナ科の野菜のみに発生する病気で、カビの一種である糸状菌が原因です。
また、マメ科につく根粒菌も同様に根にコブを作りますが、これは空気中の窒素を栄養にかえてくれる根粒菌と呼ばれる有用菌で、野菜に害はなく、むしろ歓迎すべき菌です。
ネコブセンチュウを駆除できる資材
目に見えにくいネコブセンチュウを駆除する方法には、自然界に存在する微生物や植物の力を借りる方法や、殺虫作用のある化学農薬を使用する方法があります。
ここでは、安全性の高く家庭菜園でも扱いやすい土壌微生物を増やす資材から、農業で一般的に使われている化学農薬までを紹介していきます。
なお、私は石灰窒素と米糠、太陽熱を利用してネコブセンチュウの対策をしています。駆除効果が高く、家庭菜園でも実践できる安全性の高い方法でお勧めです。こちらについては、次の項目で紹介しています。
線虫捕食菌資材(アルスロボトリス菌など)
線虫捕食菌とは、センチュウの天敵として自然の土の中にも存在している菌です。
アルスロボトリス菌、モナクロスポリウム菌などが知られており、菌糸で土の中に罠を作り、捕らえたセンチュウから養分を吸収して菌糸を伸ばし、増殖していきます。
自分の菌糸を使って、土の中に輪っか状のもの、トリモチ状のものなどの罠を仕掛けて、センチュウを捕えるよ
線虫捕食菌資材は、このアルスロボトリス菌やモナクロスボリウム菌など胞子を含んだもので、土の中にネコブセンチュウの天敵を増やして捕食させることで、農作物の被害を軽減させるというものです。
線虫捕食資材は化学殺虫剤や土壌消毒に比べると、人間に安全で環境にも優しいネコブセンチュウに対する防除方法です。ただし、線虫捕食菌資材には即効性がなく、土の中にネコブセンチュウの多すぎる場合や、アルスロボトリス菌が働きにくい土壌環境(温度、pHなど)では、効果を実感できないこともあります。基本的には、年単位の長い期間をかけて効いていく土壌改良資材です。
生物農薬(パスツーリア・ペネトランス菌)
アルスロボトリス菌などと同様にネコブセンチュウの防除に役立つ菌資材ですが、パスツーリア・ペネトランス菌はネコブセンチュウを捕食するのではなく、生きた幼虫に寄生して体内で増殖し、成虫になっても産卵ができない状態にしてしまいます。即効的な殺虫性はありませんが、パスツーリア・ペネトランス菌に寄生された成虫が死ぬと、胞子が土壌中に放出されて他のネコブセンチュウへと感染が拡大していきます。次世代のネコブセンチュウを繁殖させないという方法で、徐々に被害が軽減されていくのです。
ネコブセンチュウが卵を産めなくするというもの。ネコブセンチュウそのものは成虫まで生き続けるため、初年度は植物の根に普通にコブができてしまう…というデメリットも
でも、2年目以降は確実に被害が軽減されて、菌が定着すると数年にわたって抑制効果が持続するよ!
アルスロボトリス菌などの線虫捕食菌は土壌改良資材であるのに対し、パスツーリア・ペネトランス菌はネコブセンチュウへの確かな駆除効果が認められた農薬で、日本では「パストリア水和剤」とう商品が販売されています。農薬といっても、自然界に生息している微生物を使用したもので、有機農業でも認められている資材です。
パスツーリア・ペネトランス菌は一度投入すると、数年間は土の中で生き続けるため持続的な効果が期待できます。ただし、今のところ人工で大量培養する技術が確立されていないため、化学農薬に比べて価格は高めです…
米糠
米糠をすき込むと、米糠を栄養源に乳酸菌が増殖し、その乳酸菌をエサに土壌中に自活性線虫が増殖します。自活性線虫は、ネコブセンチュウなどのような植物などに寄生する線虫とは異なり、自分で菌などの微生物など食べて活動する植物の根を加害しないセンチュウです。この自活性線虫の代謝物であるアンモニアが、ネコブセンチュウの増殖を抑制します。
ただし、米糠に期待できる効果は増殖の抑制であり、線虫捕食菌資材のようにネコブセンチュウを殺虫するものではありません。また、すき込む米糠の量が多すぎると、別の害虫が発生しやすくなるため要注意です。
アルスロボトリス菌やパスツーリア・ペネトランス菌のような微生物資材や米糠は、菌や拮抗する線虫の力を借りて間接的にネコブセンチュウを駆除するものです。人間にも環境にも優しい一方で即効性がなく、またネコブセンチュウの密度が高すぎる土壌では目に見えた効果があまり得られません。
深刻な被害を一刻も早く食い止める場合には、直接的にネコブセンチュウが駆除できる資材が有効です。
拮抗植物(マリーゴールドなど)
マリーゴールドは、根から殺センチュウ物質(α-ターチエニール)を分泌することで知られています。
殺虫のメカニズムについては未だ解明されていない部分もありますが、マリーゴールドによるネコブセンチュウの抑制については、研究によって効果が立証されています。
マリーゴールドの殺センチュウ物質(α-ターチエニール)は、太陽熱消毒では届かない地表下40㎝ほどまで影響を与えることができ、駆除に成功すると土壌消毒に比べて長期間の抑制効果が期待できるとされています。
マリーゴールドの花、茎、根を土にすきこむと、さらに効果が高まります。ただし、土にすき込んだ場合は、野菜の作付けまで1か月程度、緑肥として分解されるのを待たなければなりません。
マリーゴールドにはフレンチ種、アフリカン種、メキシカン種などがありますが、ネコブセンチュウに対して高い効果が期待できるのはフレンチ種です。
マリーゴールドのように、「ある植物から放出される化学物質が他の動植物の活動の阻害や促進など、何かしらの影響を及ぼす現象」をアレロパシーと呼びます。ギニアグラス、クロタラリアなどの植物にも同様に、ネコブセンチュウの増殖を抑制するアレロパシー効果で知られています。
石灰窒素
石灰窒素の有効成分シアナミドには、ネコブセンチュウに対する殺虫効果があります。
石灰窒素は石灰や窒素などを供給する肥料であると同時に、殺虫・殺菌効果もあらわす農薬でもある資材です。土に投入した数日間はネコブセンチュウを駆除する農薬として作用し、その後は毒素が分解されて植物への肥料になるのです。
「農薬」と聞くとネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、石灰窒素は日本では明治時代から使用されており、農薬の基準が厳しいEU諸国でも承認されている人間にも環境にもやさしい資材です。石灰窒素を使ったネコブセンチュウの駆除の方法や、石灰窒素が人間にも環境にも優しい理由や具体的な使い方については、こちらで詳しく紹介しています。
▶石灰窒素の優れた作用と、効果的な使い方
石灰窒素を単に土に混和するだけでは、それほど強い殺虫効果は期待できません。石灰窒素を使ってネコブセンチュウを本格的に駆除したい場合には、太陽熱消毒法・土壌還元消毒法と併せると効果的です。この方法ついては、後ほど詳しく紹介します。
ただし、土壌消毒には数週間から1か月程度の期間が必要で、その間は作物を植え付けることができません。また、太陽熱消毒や土壌還元消毒は日差しの強い夏にしか実施できないというデメリットもあります。
そこで、消毒期間が必要のない化学殺虫剤や、夏以外の時期でも土壌消毒できる土壌くん蒸剤についても少し触れておきたいと思います。
土に混和する化学殺虫農薬
家庭菜園でも使いやすいのが、ラグビーMC粒剤、ネマトリンエース粒剤などの粒剤タイプのものです。神経に作用する有機リン酸系のものが多く、種まきや植え付け前に土に混和させて使います。
これらの粒剤は、土壌中のネコブセンチュウの密度を下げたり、根への侵入を予防したりする目的で使用され、寄生されてしまった後の駆除には使えません。
栽培途中にでも使えるネマキック液剤もありますが、使用できる野菜品目が少なく、さらに扱いが難しい劇物指定の農薬のため、家庭菜園用ではありません。
なお、ラグビーMC粒剤、ネマトリンエース粒剤なども、登録のない野菜には使用できません。事前に、適応内容や使用方法をよく確認してから購入しましょう。
土壌消毒剤、土壌くん蒸剤
太陽熱や土壌還元法を使った土壌消毒は、太陽の日差しが強い夏に実施しないと効果が得られません。一方で、クロルピクリンくん蒸剤、D-D剤などの薬剤を使用する土壌消毒は、夏以外の季節でも効果的に土壌消毒することができ、確実にネコブセンチュウを駆除します。
でも、これらの農薬のほとんどは取り扱いに注意が必要な劇物に指定されており、家庭菜園用ではありません。
家庭菜園で土壌消毒する場合には、先に説明した石灰窒素+太陽熱消毒法・土壌還元消毒法がお勧めです。
石灰窒素+太陽熱消毒法・土壌還元消毒法
太陽熱消毒法は【太陽熱】+【石灰窒素と水の反応熱】+【有機物の分解による発酵熱】で地温を上昇させて、熱によってネコブセンチュウを駆除する方法です。
また、土壌還元消毒法は有機物の分解で土壌中の酸素が消耗されることを利用する方法で、土の中を無酸素状態(還元状態)にしてネコブセンチュウを死滅さます。
どちらの消毒方法も、石灰窒素と一緒に有機物を土にすき込み、透明のビニールで土を覆います。晴天が続く夏の暑い時期を狙って、実施しましょう。
使用する有機物は、米糠やふすま、糖蜜などの発酵しやすいものが適していますが、安価で入手しやすい米糠がお勧めです。石灰窒素は1㎡あたり60gから100、米糠は1㎡あたり1㎏から2㎏が使用の目安です。土にすき込んだ後、たっぷり潅水してビニールマルチなどで地表を覆い、1か月程度そのまま放置すれば完了です。
石灰窒素+太陽熱消毒法・土壌還元消毒法のより詳しい方法は、こちらで紹介しています。
▶石灰窒素を使った土壌消毒の方法
石灰窒素+太陽熱消毒法・土壌還元消毒法は、上手くいけば土壌消毒剤・くん蒸剤に匹敵するほどの高い駆除効果が発揮できます。
一方で「土壌消毒」という方法は、有害なネコブセンチュウ以外にも、自活線虫や有用な菌にもダメージを与えてしまいます。
石灰窒素+太陽熱消毒法・土壌還元消毒法は、土壌くん蒸剤などに比べると、人間や環境に優しい方法ではありますが、土壌微生物の環境を壊してしまうという点では変わらないのです。
有用な微生物が減った土壌では、病原菌が増えやすく、ネコブセンチュウも再増殖しやすくなります。土壌消毒の後は、線虫捕食菌資材などを補給して、有用微生物が増えやすい土作りを心掛けましょう。
私は線虫捕食菌資材と、トリコデルマ菌の資材を入れています!
ネコブセンチュウの被害にあわないために注意すること
ネコブセンチュウの駆除の前に、最も大切なことは、「ネコブセンチュウを畑に持ち込まないこと」です。
ネコブセンチュウは、翅の付いた昆虫のように遠くまで自力で移動することはありません。ネコブセンチュウの畑への侵入経路は、
- 農具に付着
- 寄生した残渣の持ち込み
- 水に流れて漂着
などです。
使った鍬やシャベルなどの農具は、水でしっかり洗浄してから次の畑で使うことは、最も基本的な予防方法。さらにネコブセンチュウが寄生した植物は根から抜き取って処分し、他の畑へ持ち込まないことも重要です。ネコブセンチュウは雑草の根などにも寄生するため、除草後の処分にも注意しましょう。
また、ネコブセンチュウは水にのって移動するため、排水性の悪い土壌では発生リスクが高まります。日頃から堆肥などをしっかりいれて、水はけの良い土作りを心掛けましょう。土作りによって有用な微生物が増えれば、拮抗作用によりネコブセンチュウの抑制にもつながります。
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