培養土とは、植物を栽培する土のこと。
今回は、植物がすくすく育つ培養土の作り方について紹介します。
庭の土をそのままプランターに入れても、野菜やハーブがうまく育たないことがあります。
それは、その植物にあった成分や構造の土ではないから。
ホームセンターで売られている培養土は、作物が育ちやすいように養分や、土のふかふかさなどを考え、数種類の土や肥料をブレンドしたものです。
土づくりは、栽培の基本です。
作物に適した培養土を、自分で手作りできれば、野菜やハーブの栽培がもっと楽しくなりますよ!
培養土の材料になる用土は種類が豊富で、何を選べば良いか分からないという方も多いかと思います。
今回は、それぞれの用土の性質や役割、そして野菜用とハーブ用との培養土の違いについて解説します。
よい培養土とは?
よい培養土とは、酸性やアルカリ性が適した数値であり、さらに保水性や保肥性、通気性などを良くする団粒構造に優れたふかふかの土です。
団粒構造とは、土の粒同士が小さな塊をつくっている状態のこと。この土の粒の塊と塊との間や、塊の中にできる隙間に、植物にとって必要な水や養分、空気が蓄えられ、さらに植物にとって不要になった余分な水は、その隙間を通じて速やかに排出されるのです。
団粒構造に優れた土で栽培すると、植物が必要な時に、必要な量だけ水や養分を吸収することができます。また、植物の根の呼吸や、土にすむ良い微生物に必要な酸素を十分に供給でき、不要な水も溜まらないため、根腐れなども起こりにくくなります。さらに、植物が根を張りやすく、しっかりと育ちます。
特にプランター栽培では、保水性や排水性はとても重要になるため、団粒構造をしっかりと意識して土をつくりましょう。
培養土は基本用土と補助用土を混合したもの
培養土を作る用土の種類は、ベースとなる基本的な用土と、特殊な機能をもつ補助用土の2つに分けられます。
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基本用土の代表格といえば、赤玉土。大小さまざまな粒の大きさで販売されているため、いろいろな栽培用途で使えます。肥料もちが良い粘土質で、ゴロゴロとした形状が水はけや通気性を助けます。
補助用土には、堆肥のように、土のなかにすむ微生物の働きを良くして団粒化を促すものと、特殊な形や性質もつ鉱物などが物理的に直接、団粒構造をつくるものとがあります。
一般的なプランター栽培では、全体の7割程を基本用土で、残り3割ほどを堆肥、そして他の補助資材で微調整します。
補助用土① 微生物に働きかけて団粒構造をつくる堆肥
土の団粒化は、土の中に微生物が増えると促進されます。微生物の働きが、土の粒と粒とを引き付けて塊にする、ボンドのような役割をするからです。
堆肥は、主に微生物のエサとして培養土に混合します。
腐葉土のように植物の枝や葉の繊維質が、物理的に水はけや通気性を良くする場合もありますが、赤玉土や、その他の補助用土に比べると直接的な効果は高くはありません。
補助用土② 物理的に土の団粒構造を作る特殊資材や、pH調整材
パーライトやバーミキュライトは、微生物のエサにはなりませんが、特殊な構造で物理的に団粒構造をつくる鉱物資材です。また、もみ殻燻炭のように、酸性の土をアルカリ性よりに矯正する働きのものもあります。
では、次に基本用土と補助用土の、それぞれの種類や機能について、詳しく見ていきましょう。
基本用土
基本用土とは、培養土作りのベースとなる用土です。基本用土は培養土全体の約7割を占めます。
基本用土にはいくつかの種類がありますが、ここでは最も一般的で、扱いやすい赤玉土を紹介します。
赤玉土
粘土質で赤褐色の火山灰土で、関東ローム層の中層で採取されています。
火山灰の粒子が塊になった状態で、大、中、小の粒に分かれて販売されているため、用途に応じた使い分けができます。
ここが優れもの!
- 粒と粒の間にすき間ができる為、水はけや通気性が良い
- 粒一つ一つが水を吸収できるので、水もちが良い
- 粘土質で肥料分を吸着しやすく、肥料もちが良い
ここが欠点…
粘土質の為、粒が潰れて粉になりやすいのが欠点。粉状になると土が目詰まりを起こし、水はけや通気性が急激に低下します。
酸性度
弱酸性( pH 6.0-7.0前後)
補足)鹿沼土について
赤玉土とよく似た用土で、薄黄色をした鹿沼土があります。赤玉土と同様に基本用土として使われる粒状の土ですが、軽石に近い素材で非常に軽く、粒が硬質で潰れにくいという長所をもち、通気性や水もちという点では赤玉よりも優れているとも言えます。
ただし鹿沼土はやや強めの酸性で、pH調整が必要です。市販の培養土では、鹿沼土をベースにしながらも全体を弱酸性に調整したものが多数ありますが、家庭で調整して使用するのは少しハードルが高く、敢えて鹿沼土を使う必要なないと考えています。 そこで今回は赤玉土をベースに培養土を作ることを前提とし、鹿沼土の説明は省略したいと思います。
補助用土① 微生物を増やして土の団粒化を促す
補助用土の堆肥は、土壌中の微生物のエサになります。微生物が活発に働くことで土の団粒化を促進され、ふかふかの土になるのです。
堆肥は培養土やバーク堆肥のように植物性のものと、牛糞堆肥などのように動物性のものとがありますが、動物性堆肥は製品によっては培養土の補助資材に不向きなものもあるため、ここでは一般的に用いられることが多い植物性堆肥のみを紹介します
腐葉土
広葉樹の落ち葉や枝を発酵させて堆肥化したものです。
補助用土として期待できること
- 用土の通気性の改善
- 用土の水はけの改善
- 土壌の微生物を増やし、団粒構造を作る
ここが優れもの!
- 葉や枝の形がそのまま残っている為、土の中ですき間を作り、水はけ、通気性が良い
- 土の中の微生物を増やすエサになる
- 土の粒とくっつき合って団粒構造を作る
酸性度
弱酸性( pH 6.0-7.0前後)
バーク堆肥
樹皮を発酵させ、堆肥化させたものです。
補助用土として期待できること
- 用土の通気性の改善
- 用土の水はけの改善
- 土壌の微生物を増やし、団粒構造を作る
ここが優れもの!
- 木片の形が残っている為、土の中ですき間を作り、水はけ、通気性が良い
(腐葉土よりも分解速度が遅い為、効果が長持ちする) - 土の中の微生物を増やすエサになる
- 土の粒とくっつき合って団粒構造を作る
酸性度
弱酸性~弱アルカリ性( pH 5.5 – 8.0前後)
補助用土② 物理的に団粒構造を作る資材や、㏗などの調整剤
微生物のエサにはなりませんが、各々が持つ物理的な特性で土を団粒構造のに近づける即戦力になる資材です。酸性やアルカリ性のpH調整剤として使えるものもあります。
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バーミキュライト
「ひる石」と呼ばれる天然のケイ酸塩鉱物を、800~1000℃の高温で熱して作った人工用土です。
熱で元の大きさの10倍以上に膨張してできた、一粒一粒が焼きあがったパイ生地のように薄い層が重なる、多層構造が特徴です。他の用土に比べて、特に吸水性と軽さが優れています。
焼きあがって、ふんわり膨らんだアップルパイみたいな構造ね!
補助用土として期待できること
- 用土の水もち
- 用土の軽量化
- 用土の通気性の改善
- 用土の肥料もちの改善
ここが優れもの!
- 粒にすき間が多い為、水や肥料をたくさん蓄えられる
- 粒にすき間が多い為、通気性がいい
- 粒が細かく軽い(赤玉土の1/8)
ここが欠点…
柔らかく崩れやすい為、水はけ改善は期待できない
酸性度
中性(安定性が高く、土壌中での変化が無い)
パーライト
マグマが固まってできた火山岩を急速に加熱し、発泡させて作った人工用土です。
岩石の中の水分が一気に蒸発することでできたヒビ割れや空洞が特徴です。
弾けたポップコーンみたいな、ふんわり構造ね!
パーライトには、主に黒曜石のものと真珠岩のものとの2種類があり、それぞれで性質が若干異なります。
■ 真珠岩パーライト
粒の外側まで突き抜ける、大きな空洞が特徴。
水分量が多い鉱物の為、水が蒸発するときの爆発が強く、大きな穴が開きます。
■ 黒曜石パーライト
粒の内部のみにある、複数の小さな空洞が特徴。
水分量が少ない鉱物の為、水が蒸発するときの爆発が弱く、内部に複数の空洞ができるのみです。
補助用土として期待できること
- 用土の通気性の改善
- 用土の軽量化
- 用土の水もち、肥料もちの改善(真珠岩パーライト)
- 用土の水はけの改善(黒曜石パーライト)
ここが優れもの!
- 粒にすき間や多い為、通気性がいい
- 粒が大きく、軽い
- 水が粒の中まで浸透しやすいので、水もち、肥料もちが良い(真珠岩パーライトのみ)
- 粒が大きい為、土の中で適度なすき間を作り、
水が粒の内側までは浸透しにくい為、水はけがよい(黒曜石パーライトのみ)
酸性度
中性(安定性が高く、土壌中での変化が無い)
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ピートモス
ミズゴケ類が長年にわたって堆積し、腐植化してできた用土です。
補助用土として期待できること
- 用土の水もちの改善
- 用土の肥料もちの改善
- 用土を酸性に傾けたい
ここが優れもの!
- 水辺植物であるコケが主成分の為、水を蓄える能力が高い
- 腐植が多い為、肥料を蓄える力が強い
- 繊維質の為に分解されにくく、土をふかふかにする
酸性度
強酸性(pH4.0前後)※未調整の場合
園芸用に販売されるピートモスは、予め石灰処理がされてpH5.0~6.0前後に調整されているものもある為、pH調整目的で使う場合は未調整のものを選びます。
また吸水性に優れたピートモスですが、完全に乾くと水をはじく性質があります。
販売時には乾燥した状態のため、使用する前に一晩たっぷりの水に浸して撥水性を解除する必要があります。
ちょっぴり面倒だけど…しっかり水に馴染ませまてから使って!
そのまま使うと、水を入れても吸ってくれずに、浮き上がって流れちゃうよ…
もみ殻燻炭
もみ殻を低温でじっくりと燻し焼きして、炭化させたものです。
燃焼時にできた、無数の穴が特徴です。
補助用土として期待できること
- 用土の水もちの改善
- 用土の水はけの改善
- 用土の通気性の改善
- 用土の軽量化
ここが優れもの!
- 小さな穴が無数にあいているので、水をたくさん蓄えられる
- 小さな穴が無数にあいてすき間が多い為、通気性がいい
- もみ殻の形を残している為、土との間にすき間ができて、水はけ、通気性が良い
- 粒が細かく軽い
酸性度
アルカリ性(pH8.0~9.0前後)
培養土の作りの黄金比と、おすすめアレンジ方法
培養土作りには黄金比があります。
基本用土(赤玉など):堆肥(腐葉土など)=7:3
これをベースに栽培する作物に合わせて、アレンジを加えています。
例えば、真夏の作物でより土に吸水性を持たせたいのであれば、基本用土を少し減らして
【赤玉:腐葉土:ピートモス=6:3:1】でブレンドしたり。
ハンギングバスケットなどで、土の軽さを重視したいならば、一部をパーライトに替えたり。
アルカリ寄りの土に調整したいのならば、もみ殻燻炭を混合したり。
堆肥には微生物の働きを活発にして、団粒化を促す働きがありますが、この微生物による団粒化は、時間をかけて、年単位でゆっくりと進みます。一年単位で栽培するプランターの場合は、堆肥の他に、即戦力となる団粒化資材を混合がおすすめです。その代表選手がバーミキュライトやピートモスなどです。
野菜とハーブでは違う培養土の方が良い?
野菜とハーブでは、好みの㏗(酸性アルカリ性の度合い)が違います。
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日本で育つ野菜の多くは㏗6.0~6.5前後の弱酸性の土壌を好みます。日本はもともとの土質や降雨などの影響で土壌が酸性寄りのため、それに適応した品種が主流となっているからです。
ちなみに、培養土作りの黄金比である、赤玉と腐葉土を7:3で混合した土は、概ねこの弱酸性になります。
一方で、多くの西洋ハーブは、原産地が地中海沿岸などの石灰質土壌(アルカリ性)のため、アルカリ性寄りの土を好むといわれています。アルカリ性の培養土を作る場合には、基本の培養土に石灰を添加するか、ピートモスやもみ殻燻炭などを混合して調整する必要があります。
ただし、あくまでも私の経験上ですが、ほとんどの西洋ハーブは野菜と同じ弱酸性の培養土でも元気に育ちます。特にバジルの場合は、弱酸性の土を好みます。
ちなみに、石灰などのpH調整剤は、添加し過ぎると微生物のバランスを壊して土が固くなり、逆に生育が悪くなる場合もあります。西洋ハーブ栽培でも、㏗6.0を下回らないように調整できていれば、無理にアルカリ性にする必要はありません。
世界の珍しいバジルを育ててみませんか?
日本で一番人気の西洋ハーブといえば、やっぱりバジル。
ところで、世界には150種を超えるバジルがあることを知っていますか?
日本で普段手にするバジルは、イタリア料理に使われる「スイートバジル」。実は、数あるバジルの1種に過ぎません。
最近ブームになっているガパオライスには、ホーリーバジルという品種のバジルが使われます。スイートバジルに比べて、格段に香り高く、炒めものに加えても風味が飛びません。焼き菓子に加えると、とびっきり美味しくなるシナモンバジルという品種もあります。レモン以上に瑞々しい香りを放つレモンバジルという品種もあります。
これらのバジルは、残念ながら野菜として八百屋に売られることは殆どありませんが、種はインターネットなどで簡単に手に入ります。
バジルの魅力をもっと知ってもらいたくて、バジルの栽培から食べ方まで、どこよりも詳しく、楽しく情報を発信中です。
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